最高裁判所第二小法廷 昭和44年(テ)23号 判決 1969年9月26日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の上告理由について。
論旨は、上告人が旧訴の控訴審たる松山地方裁判所において訴の変更により追加提起した新訴は、地方裁判所を第一審とする訴であることに帰するから、その上級審である原審は新訴については控訴審として判決をすべきものであつたのであり、したがつて、原判決に対する本件上告の申立のうち右新訴に対する不服の部分は民訴法三九三条所定の上告であるという。しかし、本件のように控訴審における訴の変更により提起された新訴に対する控訴審の判断は、実質上初審としてするものであるが、それはひつきよう第一審判決に対する不服申立を契機とし、その応答としてするものであり、したがつてその判決は第二審としてした判断であるから、これに対する不服申立は上告としてなすべきであつて、原審が上告人の右第二審判決に対してした判決は上告審としてした判決にほかならない。
してみれば、原判決に対する本件上告は、民訴法四〇九条ノ二所定の上告としてのみ許されることが明らかであるところ、論旨中には違憲をいう部分があるが、その実質はすべてたんなる原判決の法令違背を主張するものにすぎないから、上告適法の理由とならない。論旨は採用するに足りない。
よつて、民訴法四〇九条ノ三、四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 草鹿浅之助 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)